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「……っ」
「ん……そんなに固くならないでよ。楽しませてあげるからさ」
(無茶言うな!!)
ストーリー的なことも、男女の交わりについても、この先どうなるかは知っている。
だが、あいにくこちらは処女だ。
(残念ながら前世でも経験ないしね!!)
怖いものは怖いのだ。
しょうがないだろう。
「……ふむ。君、もしかして、処女?」
(何故バレた!!)
この展開はゲームではなかった。
それもそのはず、本来の主人公は処女ではないからだ。
元々、王子を誑し込むつもりで近付いている設定なため、かなり誘惑なども上手い。
だが、ルーナは処女だった。
「……だったらなんなんですか」
(あいにく私には野心がないもんで!!)
そういう能力に長ける必要を感じなかったもので、のほほんと18年間生きてきたのに。
まるで帳尻合わせでもされるように、ある日突然王子の専属メイドに大抜擢される始末。
(ホント一体全体どーなってんの!!)
さすが乙女ゲーム。
ご都合主義!!
いくら前世で好きだったからと言って、この世界を楽しもうなんざ到底思えない。
何故ならこれは現実だからだ。
どんなにきらびやかな世界に見えても、ここはルーナにとって現実なのだ。
ルーナが一言だけ肯定すると、王子は目を丸くした。
そして、ぽつりと一言。
「……珍しい」
「失礼な!」
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