177人が本棚に入れています
本棚に追加
2話
「ん、ん……っ」
「ふ……」
王子の私室。
豪華なキングサイズのベッドの上。
見目麗しい金髪碧眼の王子様に押し倒されて、キスをされている。
それもいきなりディープ。
(さすが手馴れてる!!)
乙女なら1度は憧れるであろう、ロマンチックなシーン。
そんな中、ルーナはただただ混乱していた。
(待て待て待て!!)
王子の舌が上顎を撫で、歯列をなぞる。
「ふ……んんっ」
奥の方に引っ込めていたはずの舌を見つけられ、王子の舌が絡んだ。
「ん、ん……っ」
長い。
いつまで経っても唇を離してくれない。
唇を食むように柔らかく口付けたと思えば、今度は呼吸さえも奪うような深いキスをされ、息を継ぐタイミングを見失ってしまう。
「は……ぁっ!」
王子の手が、胸の上に置かれる。
ルーナは思わずびくりと体を跳ねさせてしまった。
やめてください、と拒絶したくても、唇を王子のそれに塞がれて声を上げることが出来ない。
「顔が赤くなってるよ? 熱がある? 暑い?」
(いやいやいや、アンタのせいだから!)
見当外れもいいところだ。
わざとらしいにも程がある。
ルーナは涙目で王子を見上げ、迫力がないことは承知しつつもキッと睨んだ。
こちらは呼吸だけでやっとの有様なのに、王子はといえば涼しい顔をしている。
最初のコメントを投稿しよう!