2話

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2話

「ん、ん……っ」 「ふ……」  王子の私室。  豪華なキングサイズのベッドの上。  見目麗しい金髪碧眼の王子様に押し倒されて、キスをされている。 それもいきなりディープ。 (さすが手馴れてる!!)  乙女なら1度は憧れるであろう、ロマンチックなシーン。  そんな中、ルーナはただただ混乱していた。 (待て待て待て!!)  王子の舌が上顎を撫で、歯列をなぞる。 「ふ……んんっ」  奥の方に引っ込めていたはずの舌を見つけられ、王子の舌が絡んだ。 「ん、ん……っ」  長い。  いつまで経っても唇を離してくれない。  唇を食むように柔らかく口付けたと思えば、今度は呼吸さえも奪うような深いキスをされ、息を継ぐタイミングを見失ってしまう。 「は……ぁっ!」  王子の手が、胸の上に置かれる。  ルーナは思わずびくりと体を跳ねさせてしまった。  やめてください、と拒絶したくても、唇を王子のそれに塞がれて声を上げることが出来ない。 「顔が赤くなってるよ? 熱がある? 暑い?」 (いやいやいや、アンタのせいだから!)  見当外れもいいところだ。  わざとらしいにも程がある。  ルーナは涙目で王子を見上げ、迫力がないことは承知しつつもキッと睨んだ。  こちらは呼吸だけでやっとの有様なのに、王子はといえば涼しい顔をしている。
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