手紙とメダルと

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―――ここは『第二の王国』を意味する『セカンダム』と呼ばれる世界。 正式には五つの国から成っているらしいが、そのうちの一つは異空間にあるとかいわれている前人未到の未曾有の国だ。 現存するところ四つの国が共存している世界である。 セカンダムの住人には、元来備わっている潜在的な力の属性というものが四種類ある。 四つの国はそれぞれの属性の一つが長けた国として発達してきた。 セカンダム世界の西の方角に位置するのが俺らが住まう国、『ウェスター国』だ。 ウェスターは四つの潜在的な力のうち【獣性(ビースト)】と呼ばれる属性の力に長けた国である。 この属性は獣のような力を特徴とし、これを強く発揮出来る者は優れた運動能力を有していて肉体的にも非常に頑強といえる。 例えば夜目を利かせたりだとか、鋭利な爪を瞬時に出し入れ出来たりだとか。 瞬間的に牙を生やしたりだとか、常人では考えられないほど高い跳躍をこなしたりだとか。 自然の摂理でウェスターの国は、武力に特化して強さを追究してきた。 獣の特性……獣の本能なのかもしれない。 そういう特性を持つ住人が多く集まり、地域から国へとなっていったのだろう。 国自体は国民主権であり、国会に内閣に裁判所も存在する。 (まつりごと)とはまた別で、各国には国を象徴する『王家』と呼ばれる存在がある。 ウェスター王とはフィジカル面での強さの象徴であり、国民皆の憧れの的といえる。 ウェスター城を本拠地として構え、国王は多少の権力を持ちながらも施政者ではなく国のシンボルとして君臨する。 王家といっても脈々と続いてきたものではない。 王とはウェスター最強でなければいけないからだ。 そしてウェスターとは強さを求める国ゆえに、王をブッ倒して俺こそが王に成り上がる! などと考える輩が昔は後を絶たなかったそうだ。 実際、ウェスター王家とは何度も入れ替わって続いてきたと歴史の時間に習っている。 現在はウェスター城の王の元には優秀な参謀が控え、ウェスター王専属の警護のプロがついている。 ウェスター正規の軍隊などとは異なり、城にて王と寝食を共にする。 王自らに任命され、王を守るためのスペシャリスト……その職業は戦師(いくさし)と呼ばれている。 現在ウェスター城には、戦師は四人駐在……いや、居住している。 王と戦師はあまりにも密接な関係にあるので、ハッキリとした上下関係があるというのに感覚的には最早家族(ファミリー)だ。
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