桜よりも気になる存在

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 現在、午後三時。  俺が午前十時からシフトに入ってる間に、二十回以上トイレを借りに来てる奴がいた。  もう顔覚えたわ!  おいおい、いくら頻尿でも度を越えてるだろう?  花見よりコンビニにいる時間の方が長いんじゃねーのか?  ツレは何も言わねーのか?  しかも、一切なにも購入しない。   店に入って来る時、トイレを借りると声も掛けない。でも、俺と目が合う。  店から出て行く時も、声を掛けることもなく、なぜか俺を見てから出て行く。  普通にキモい。  そして、今。またトイレに並んでいる。勿論店に入ってきた瞬間俺と目が合った。  なにも買わなくても、一応客だから耐える。    が、今回トイレから出てきたそいつは、俺がいるレジまで来た。  俺と同じ大学生なのか? よく分からないが背が高くてイケメンだ。  つり目で、妙に迫力がある面構えだ。  すると―― 「あ、あの」  上ずった声で話しかけられた。 「はい?」 「フ……フライドチキン、六本下さい」  おや? トイレを借りたから御礼の代わりに購入しようと思ったのか?  ふんっ! いい心掛けだな。って、なに目線だよ、俺。 「はい。フライドチキン六本ですね」 「……あ、あの」 「はい?どうかしましたか?」 「あ……い、一本は、その……お兄さんにプレゼントします。後で、た……食べてください」  顔を真っ赤にして、俯きながら言った。 「……え?」  プレゼント!? だと……  なぜか俺も釣られて顔を赤らめた。
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