2人が本棚に入れています
本棚に追加
現在、午後三時。
俺が午前十時からシフトに入ってる間に、二十回以上トイレを借りに来てる奴がいた。
もう顔覚えたわ!
おいおい、いくら頻尿でも度を越えてるだろう?
花見よりコンビニにいる時間の方が長いんじゃねーのか?
ツレは何も言わねーのか?
しかも、一切なにも購入しない。
店に入って来る時、トイレを借りると声も掛けない。でも、俺と目が合う。
店から出て行く時も、声を掛けることもなく、なぜか俺を見てから出て行く。
普通にキモい。
そして、今。またトイレに並んでいる。勿論店に入ってきた瞬間俺と目が合った。
なにも買わなくても、一応客だから耐える。
が、今回トイレから出てきたそいつは、俺がいるレジまで来た。
俺と同じ大学生なのか? よく分からないが背が高くてイケメンだ。
つり目で、妙に迫力がある面構えだ。
すると――
「あ、あの」
上ずった声で話しかけられた。
「はい?」
「フ……フライドチキン、六本下さい」
おや? トイレを借りたから御礼の代わりに購入しようと思ったのか?
ふんっ! いい心掛けだな。って、なに目線だよ、俺。
「はい。フライドチキン六本ですね」
「……あ、あの」
「はい?どうかしましたか?」
「あ……い、一本は、その……お兄さんにプレゼントします。後で、た……食べてください」
顔を真っ赤にして、俯きながら言った。
「……え?」
プレゼント!? だと……
なぜか俺も釣られて顔を赤らめた。
最初のコメントを投稿しよう!