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なんと、屋根代わりにしたブルーシートが、雨水の重さに耐えきれず役目を果たしていなかった。
"えっ?屋根が・・・てことは、もしかして。"
水が入らないようにシートをめくるも、すでに浸水した状態に。
布団やリュックの大部分がずぶ濡れになっていた。
幸い、貴重品入れに使っていたバッグのみが無事だった。
マサオは雨に完敗を認めざるを得ない格好となった。
フルカワにそのことを告げる。
「フルカワさん、雨で寝床やられたわ・・・寝ようにも寝らんないから、朝までどうにかするわ。」
「マジか!セムラちゃん、そしたら一人分スペース空いてるから隣使っていいよ。」
「そこまで世話になって申し訳ない。使わせてもらいます。」
フルカワの言葉に甘えて、マサオは一時避難させて貰うことにした。
しかし、一人だったらどれだけ不安だった事か。
事実、今回も二人で行動してたお陰で助かった。
当たり前だが、路上者同士も助け合いで成り立っているのだ。
いつだって止まない雨はない。
普段陽の当たらない生活をしているからこそ、光を求めて歩き続ける。
撤去で居場所を追われてもとにかく歩き続ける。
太陽の光が差す方向、それがマサオたちが行くべき道ならば、彼らはどこへ進んでいくのだろうか・・・
その旅路は陽の差す限り、終わりを迎えることはない。
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