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走り出し
〜○月○日 月曜日〜
----5:00----
日も昇ってない、夜の静けさが残る早朝マサオは目覚める。
不思議なもので寒さで眠気を奪われた訳ではなく、自然と起きれたのだ。
この人気の少ない時間を使い、布団一式を手にしたマサオは公園へ向かう。
"よし、ここでいいかな。"
ジャーーーー!
手頃な水道を見つけ出すと同時に水を出し、洗剤代わりの石鹸を片手にジャブジャブと洗い出した。
幸い早朝ランニングや犬の散歩などで訪れる人ばかりなので、周りは特に気にも止めない様子だった。
そうでなくともマサオは手を止めなかっただろう。
10分ほど経った頃、土ほこりにまみれた布団の汚れが大方綺麗になったのを確認し作業の手を止め、力一杯絞りに絞って寝床に戻る。
寝床のすぐ傍に、歩道と車道を仕切る鉄の柵があり布団を干す。
タイミングが良ければ日光が入るような作りになっているので、天気のいい日はありがたいものだ。
不思議なもので寝床のすぐ傍なのか、ゴミとして撤去されないのだ。
これがもし、近くのビルの敷地内等であればすぐゴミ箱行きなのだろう。
柵に引っ掛けてからさらに水分を搾り取り、下準備を終えたマサオは寝床の中で一眠りつく。
あとは乾くのを待つのみ。
配給日にもらった厚手の毛布にくるまって時間が過ぎるのを待つ。
"流石に今から何時間も寝ないだろうから、起きたらウォーキングでも行こうかな。"
そこにはいつもより日常を快適に、かつ前向きに過ごそうというマサオがいたのだった。
完全に路上生活を楽しんでいるように思えてならない。
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