奇跡

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昔は仕事柄、この駅をよく使っていたがまだまだ彼にとって未開の地が多い。 人も多い日曜の昼下がりに駅の近くを新規開拓するのも悪くない。 景色を楽しんでいる間に馬券場に着く。 モニターには関東、関西、九州各地方の大型会場と中継が繋がっている様子が映し出されている。 その横には各レースの賭けた馬の配当がわかる倍率、オッズというものが表示されている。 マサオはこれらのオッズを見ながら何となく予想し始める。 一着目、二着目と次々と手元にあるマークシートに記入する。 そして、そのままマークシートを提出する。 ビビッ・・・・・ "内容が識別できません。" 機械音と共にエラーで返されてしまう。 何が起きたのか、よく分からなかった。 困ったマサオは、受付の女性に改めてやり方を聞いてみた。 その場でマークシートの書き方から何から、受付の人に教わりながら記入を済まし馬券を買う。 ビビッ・・・・ "購入を完了しました。" マサオは馬券を数枚手にした。 しかし、買ってから自分の思っていた数字の配列と違う事に気づく。 "あれ?お姉さん、言ってる事を違うように受け取ったな。まぁいいか。" そうこうしている内にレースが始まる。 新聞や馬券片手に映像を見ている周りの人々の熱がすごい。 場合によっては、当たれば大金だからな。 そもそも、自分が欲しかった配列の数字じゃないからな。 半ば諦めモードのマサオは、レースの映像をただ大人しく見ていた。
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