奇跡

4/6
前へ
/136ページ
次へ
〜○月○日 月曜日〜 "うぅ・・・・胃が重い・・・" 前日の一人祝勝会の影響が体に現れていた。 重い体を起こし、用を足しに寝床の外を出る。 通勤ラッシュが落ち着いた時間帯、人の数も少なく思える。 それでもまだまだスーツを着た人々が行き交う中、向かいにいる先輩の所に二、三人の人が溜まっている。 年末頃からたまに見かける顔だが、年長者である者の身なりからして路上者ではなさそうだ。 マサオは邪魔にならない程度に挨拶をする。 すると、ひとりの男性に丁寧に挨拶をされる。 「恐れ入ります。私、○○テレビの報道担当の者でして。今、取材でこちらのビル街下にお邪魔させて頂いてます。」 「あ、そうですか、ご丁寧にどうも。ディレクターさんですか。名刺頂戴しますね。」 「いきなりで申し訳ないのですが、いつかお時間ある時に取材宜しいでしょうか?」 「まぁ、私の話でよければ。では、失礼しますね。」 簡単な挨拶も終わり、マサオはその場を離れる。 名刺のやり取りなんていつぶりか、以前取材と称して非常識な時間に来たユーチューバーの奴らに、爪の垢を煎じて飲ませてやりたいものだ。 偏見かもしれないが、それが出来ないからユーチューバーなのかもしれないなとも思った。 にしても、昔少しだけ仕事したことあったテレビ局だったので驚いた。 妙な縁で繋がっているという事なのだろうか。 マサオは頂いた名刺をマジマジと眺めてながら思いふけっていた。
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加