1人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
わかっていた、そう、最初からわかっていた事だ。なのにこの落胆ぶりはどうだ、玉砕するのは当たり前だった、彼は高嶺の花で自分のような底辺の女はどう頑張っても釣り合わない。
それでも、万が一でも可能性があるかもしれないと、淡い希望を抱いていた告白前の自分にタイムスリップして止めておけと忠告に行きたいくらいだ。
出した言葉は戻らないが、以前のようにただの知り合いのひとりに、多少気まずくてもいつかそれも晴れると思いたい。
玉砕のあとの最初の休日、家に居ても気分が上がらない、と、滅多に行かないドライブでもしようかと車の鍵を取り出して外に出る。外は真夏の日差しがガンガンと照りつけていた、こんなときはどこに行くのがいいのだろうか……とりあえずエンジンをかけて走り出す。クーラーを最強にしてラジオをかけて、ひたすら道なりに。
「そういえばここからだと海が近かったな」
思い出してから私は海に向かった。
海岸に着いたのは夕方でちょうど夕陽が海に差し掛かる所だった。
砂浜に座り込んで、ただその風景を見る。
しばらくそうしてから、よし、と立ち上がり叫んだ。
「絶対見返してやるぞー!幸せになってやるー!」
自分の最大量の声で叫んだ、力のかぎり叫んだ、自分中の卑屈さをかき消すように、前を向いて新しい恋が出来るようにと。
最初のコメントを投稿しよう!