きっと、会える。

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すぐに結論を出すことが出来なかった真司は、5日間という猶予を最大限に生かすことにした。 幸い、基地から実家までは半日の距離。 一時帰省して、決意を固めるには十分だった。 1日目の昼に基地を出た真司は、その日の深夜には実家に着いた。 だが、家には入らず、少し離れた場所からその様子を窺うことにした。 家の中は、ほぼ真っ暗の状態。 しかし、小さな灯りが灯っているのが分かる。 おそらく、ロウソク1本で灯りを確保しているのであろう。 「ねぇ、兄ちゃんは元気かな?」 まず声が聞こえたのは、妹だった。 7つも歳の離れた妹は、よく真司に懐いていた。 真司が出征してからと言うもの、妹は毎日のように真司のことを口にしていた。 (兄ちゃんは……元気だぞ。) 心の中で妹に答える真司。 すると……。 「私は戦争に勝っても負けてもいいんよ。真司が元気に帰ってきてくれれば、それでいい。」 それは、母の声だった。 少しだけ涙声で。 それでも、凛とした声で、母は真司の健康を願っていた。 「母さん……」 真司は、必死に込み上げてくるものを抑えた。 気持ちに流されてしまったら、すぐにでも家の扉を開けてしまいそうだったから。
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