きっと、会える。

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この場は、もう立ち去ろう。 このままこの場にとどまっていたら、きっと決意が揺らいでしまう。 家族のために、花枝のためにと特別攻撃隊に志願しようと思っている自分の決意が、『甘え』と言う気持ちに負けてしまう。 「お父さん、お母さん……志乃。戦争に負けるな。僕が……きっと僕たちが、戦争を終わらせてみせるから。」 気を抜いたら嗚咽が混ざってしまいそうなほどのかすれ声で、遠くに見える実家に向かい言う真司。 そして、振り返り歩き出す……。 「……真司、さん?」 振り返って数歩、その先に立っていたのは、花枝だった。 「はな……え」 まるで、夢の中のような気持だった。 もう、生きて花枝に会うことはないだろう。 真司はそう思っていたから。 「はな……」 「真司さん!!」 もう一度、花枝の名を呼ぼうとした真司。 しかしそれよりも早く、花枝が真司の胸に飛び込んだ。 「ご無事で……よくぞご無事で……!」 花枝も、もう真司には会えないかもしれない、そう覚悟を決めていた。 出征した男子の連れであるということは、常に男子の死を覚悟していなければならない。 そう、花枝も教わってきたから。
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