星のプリンス君

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 王子君は変わっている。背は高く文句なく美少年なのだけど、なんだか浮世離れしている。他の生徒みたいに勉強に真剣みを感じない。サボっているわけでもなく、本人は至って真面目なのだけれど、周囲から見ると何だか間が抜けている。  あるとき英語の時間にヘレン先生から、How are you? と急に指された王子君はこう答えたのだ。 「は、はい!僕、fineです! Thank you!」 言ってしまってから王子君は慌てて弁解した。 「I am sorry I was daydreaming about Today’s lunch! That’s my favorite!」 「What is that?」 「え? ダ、ダシマーキ・タマゴ!」  午前最後の授業で皆お腹が空いていたから、ぼんやりと大好きなお昼ご飯のことを考えていた王子君に、教室がどっと笑い声であふれた。王子君は天然だ。そして頭が良い。こんな男子モテないわけがない。  王子君に告白して撃沈した女子は片手では足りないという噂だった。けれども、王子君は全然女子に対して気取ったところがない人だ。それどころかあらゆることに対して気取りや気負いがない人だった。いつも飄々としている。男子の友だちも多い。もっとも、先生たちからは呆れられている。 「王子。本気出して勉強すれば東大行けるかもしれないぞ」  数学の池田先生にそう言われたとき、王子君はキョトンとした顔をした。王子君のキョトンとした顔というのは本当にダメな子の顔だ。 「そこ楽しいんですか?」  それ美味しいんですか? と聞くノリで。皆爆笑だ。
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