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健人さんが笑顔になる。この人も幼馴染で、おれが一年の夏休みまで空手部主将だった。かなりのイケメンで、おれとは違ってかなりモテたらしい。
「健人さん、久しぶりっす。まあ、ボチボチっすね」
「今度の試合、見に行けたら行くから頑張れよ。それじゃな」
「はい」
「じゃ雅也、またね」真奈美が手を振る。
「ああ」おれは手を振り返し、何気なくスマホの時計を見て……ギョッとする。
「やっべ! もうこんな時間!」
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『ちぇすとー! はいどうもー! 大山マスミでぇす!』
やった! 配信にギリギリ間に合った!
おれは胸をなで下ろす。できればスマホじゃなくて自分の部屋のテレビの大きい画面で見たいからな。
そう。これがおれの思い人、大山マスミちゃん。
とにかく元気いっぱいの空手系美少女 VTuber。華奢な体で繰り出すキレのよい演武に、おれはすっかりやられてしまった。しかも、技の型からしてどうやらおれと同じ流派らしい。そこも好感度が高いところだ。ただ、おれの流派じゃ「ちぇすとー!」って掛け声はホントは禁止なんだが。
正直、おれは彼女にガチ恋している。
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