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「……!」
あまりのことに声が出ない。しばらく口をパクパクさせたおれは、ようやく声を絞り出す。
「真奈美……なんでここにいるんだよ……」
「忘れ物したから取りに来たの。そしたら誰かいるから、誰だろうと思って近づいたら、あんただった……って、わけ。そっか……あんたがマーシーだったの……確かに中学生とは言ってたけど……」
意外だった。
「え……お前もマスミちゃんねる、見てんのか?」
「ま、まあね。時々だけど」なぜか真奈美は少しうろたえているように見えた。
しかし……
なんてこった……一番知られたくないヤツに知られちまった……おれの秘密……
……というわけで、冒頭のセリフになったわけだ。
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「……絶対に秘密にしてくれ! 頼む!」
真奈美の前で頭を下げながら、おれはつくづく後悔していた。
とは言え、実は彼女に弱みを握られるのはこれが初めてってわけでもない。の、だが……
過去の経験から言って、なんか口止め料的なものを要求されるんだろうな……ちくしょう、やっちまったぜ……
しかし。
「う、うん。分かった。じゃね」
真奈美はそのままパタパタと実習室を出ていく。
「……?」
あれ? 何も要求してこないぞ? どうなってんだ?
まあいい。それはそれで、ありがたいのは間違いない。が……
なんだろう。何か、引っかかるような……
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