深夜徘徊少年と壊れたおねーさん

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 しばらく二人で黙ったまま、抱き合った。そして、終わりは突然訪れた。 「×××!!!!」  名前を呼ぶ声が聞こえた。僕らは、ヘッドライトで照らされた。ここ、車両禁止なんだけど。車のドアが開いて、おじさんとおばさんが出てきた。  おねーさんは逃げ出した。けれど、転んだ。おじさんとおばさんが、おねーさんの両腕を抱える。 「離せ! 離せよ! クソ野郎ども! アタシは絶対殺されねぇからな!!!くそっ離せ!!」  おねーさんはジタバタと暴れながら、後部座席に詰め込まれた。ドアが閉まるとすぐに、車は走り去った。 「誘拐……?」  一人ぽつんと残された僕は、呆然と立ち尽くした。
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