深夜徘徊少年と壊れたおねーさん

　――十五年後。

　僕が十歳のときに深夜の公園で出会ったおねーさんのことを、SNSでつぶやいてみたら思ったよりバズってしまった。

　引用RTや、リプライを一つ一つ見る。似たような経験をしている人もいるみたいだ。

「あれ？」

『それ、私かもしれません』
　というリプライがあった。

　勘違いや、知名度上げの嘘かもしれないと思ったが、もし本人ならもう一度彼女と話してみたかった。タップして、プロフィール欄を見る。

　マリーゴールド＠2ｙ
　××××症闘病中の専業主婦です。毎日可愛い息子に癒されてます。
　趣味は歌うことです。歌ってみた、あげてます。
　https://www.×××.com/watch?v=×××××

　ハンドルネームは、彼女がよく公園で歌っていた歌だ。ピロン♪着信音が鳴った。返信が来たようだ。

『キャスしませんか？』

『喜んで』
　すぐに返した。会うのはハードルが高いが、キャスは相互の人たちとよくしていたのでお受けした。もしほんとうに彼女だったら、とても嬉しい。何を話そうか。