深夜徘徊少年と壊れたおねーさん

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 朝が来た。男女の怒鳴りあいで目が覚めた。おとーさんと、おかーさんだ。この場合、部屋を出て行ってはいけない。僕はおしっこを我慢しながら、布団を頭までかぶって丸くなる。はやく、終わりますように。  しばらくして、ドアを乱暴に閉める音が聞こえると静かになった。おかーさんのすすり泣く声だけが聞こえる。僕はトイレに行くと、冷蔵庫にある菓子パンをひとつ食べて、歯を磨いて、ランドセルを背負って学校に出かけた。  授業は全然分からなくてつまらないし、友達もいないのでずっと昨日会ったおねーさんのことを考えていた。今夜も公園に行ったら会えるかな?  放課後。家に帰りたくなくて、近所の自然公園に行く。一周してみたけど、やっぱりおねーさんはいなかった。やっぱり、深夜にしかエンカウントしないっぽい。  公園の時計を見る。七時半。おなかが鳴った。そろそろお家に帰らないと。おとーさんが、いませんように。
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