第9話 大胆・強引な規制

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第9話 大胆・強引な規制

 お江から報告を受けた幹事長・家康は秀吉副総理の元に出向いた。転生した武将たちは寝起きするたびに過去の記憶が蘇っていた。と言っても有利・不利を得た実感による危険回避能力を育成するもので遺恨を蘇らせるものではなかった。ただ、個人の危険回避の価値観は異なる場合もある。そこまで是正できるかは武将たちを転生させた神仏でさへ未知の世界であったのは不安分子でもあった。余りにも抑制すれば個性が削がれる。あちらを立てればこちらが立たず。早急な案件であったため、詳細な不具合への対処に不安要素を残していた。 信長「如何致した御両人。徒事ではないな。申してみよ」 秀吉「お江が家康を通し、我が国の植民地化が進んでいると申し出ましてな、    調べてみれば尋常ではない事態に。記憶は曖昧ですが我らが行ったバテ    レン禁止令を発令し諜報員の宣教師を追い出したような法案がこの国に    今必須かと」 信長「前政権は足元も見れぬ愚かさか」 家康「気づいて策を練っても改宗して我が国より他国の利益に働く者がおりま    してな自由な考えを容認しすぎて悪が真っ当な面で暴言を吐くのを瓦版    が煽り、国民を誤った方へ導くと言う何とも情けない有様で御座いまし    てな、手を焼くことこの上ないしで御座います」 信長「あい分かった。話から前政権時に我が国の領土を安易に明け渡したの    由々しき事。過去にさかのぼって規制を掛けよう」 家康「そのようなことを行えば、民主主義国家として不信を抱かれるのでは」 信長「間違いを間違いと認め、それを正す。それの何が悪い。過ちとは過去の    行いである。誤ったお定めであれば正すのも民主主義であろう。それを    理解できぬ国は自らの過ちで滅びるがいい。正すと言っても無秩序に正    すのではなく、論語的に正せば道筋も通り、理解も得られようぞ」 秀吉「法的な壁は三成に任せましょう。多少強引でも修正すべきは改めさせ、    他者の思いのままに扱えぬように縛りと没収を含めた罰則を整えさせま    しょう」 信長「それでよい。批判の全ては私に向けさせよ。そなたらに及ばぬように。    この政権を維持するためにな。家康殿のように長き政権維持はない。寧    ろ短命に感じる。休む暇などないと強く感じる」 家康「信長殿もそう感じられますか。私も生前の記憶が蘇るにつれ、この世界    との繋がりが弱弱しくなる思いが脅威となっております」 秀吉「我らに課せられた事を強引であっても推し進め、この国を健全にする。    それでいいではありませぬか」 信長「うむ」  三成に既に所有している不動産に関して税金と使用目的の厳格化と滞在期間や収入源を明確にさせ、有事の際の拠点とならないように住人の国籍や帰化も含め登録させ、公安の下部組織となる監視部を設立し、監視を強化した。それ以外にも自治会の協力を得て、秩序を乱す者に対し、資産没収か国外退去を命じられる厳格な法を発令し、治安を重視し、不純物を取り除くことに努めた。三成の打ち出した規制は一部の国から批判を受けたが、同じような問題に苦慮する国からは賛同を得ていた。
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