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「ガキじゃなくて蒼志くん! ちゃんと説明するからお店入ってもいい? 今日やってるんでしょ?」
「あ……ああ、そうだな、入れ、ちょうど客足が途絶えたところだ」
匠はOPENと書かれた吊り下げ看板をCLOSEにひっくり返す。
「あら、もう閉めちゃうの? まだ13時過ぎよ?」
「アホか、他に客なんぞ入れたらゆっくり話ができんだろうが」
「興味深々ねー」
「いいからさっさと入らんか!」
「はぁい」
ぶっきらぼうな口調。すぐ怒る。目つきが鋭い。背も声も大きい。つまりとても怖い。蒼志は木乃美の手をぎゅっと握りしめ警戒する。
「大丈夫よ蒼志くん、このおじさんおもしろいから」
「本、当……?」
……蒼志のイメージするおもしろい人というのはお笑い芸人の人を指すのだけれど……。
「ええ、からかうとそれはもう」
「おい、聞こえとるぞ」
匠はメニューをカウンター席に乱雑に放る。
「アホな事言ってないでさっさと注文しろ」
「蒼志くんは何がいい? ハンバーグとかエビフライとかあるよ?」
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