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ハンバーグもエビフライも大好物だけど、カウンターの奥で腕を組む匠が怖くてメニュー選びに集中できない。蒼志を睨んでるように見える。蒼志が気に入らないのだろうか。怒鳴られるのは嫌だ。もう帰りたい。
「もう! 匠くん人相最悪のくせに愛想ないから蒼志くん怖がっちゃってるじゃない! どうしてくれるの!」
「はっ、自慢じゃないが俺はガキに怖がられなかった事がない」
「本当に自慢じゃないわね!」
「ガキなんてうまいもん食わせとけば機嫌が直る。お子様ランチにでもしておけ」
「あら、そんなものあったかしら?」
「たった今できた新メニューだ。ガキの好きそうなものを適当に詰め込んでやる」
「なーに? サービスいいじゃないー」
「ふん」匠はそっぽを向く。
木乃美は楽しそうに笑った後蒼志に向き直りそれでいいか優しく確認してくれる。蒼志は頷く。
「で、お前は?」
「じゃあ大人様ランチで!」
「へっ、いい度胸だ」
匠は笑っても怖いんだな。匠は颯爽と料理に取り掛かる。なんて手際がいいのか。蒼志は思わず身を乗り出して眺める。流れるような手捌きだ。きれい。見ていて飽きない。
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