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望まざる子
※アルド視点
「アルド〜!」
小さな家から母の呼ぶ声が聞こえアルドは手元の竿を川から引き上げた。昼飯を知らせに来た母は両手を大きく振ってアルドを呼んでいる。
アルドはそんな母に応えるように、そのまま竿を肩に掲げて家を目指して丘を走った。
アルド ハシュベルは今年12歳。
母と2人国境の山あいに暮らしている。
物事ついた時には母と2人、山あいの小さな丘の小さな家で仲良く慎ましく暮らしいていた。
生活は楽ではなかったが、いつも明るく笑っている母のおかげで毎日楽しく暮らしていた。
アルドは年齢の割に体つきも逞しく頭も聡明だったため自分で作った工具を街に売りに行ったりして生計を助けていた。
手先が器用で性格も明るい。そして母譲りの美しい容姿を持つアルドは街の人達にも好かれていた。街に工具を売りに降りるたびに、土産に持って帰れと作物や卵や干し肉など沢山の物を皆が持たせてくれたので生活に困る事はなかった。
そうやって母と2人助け合ってずっと暮らして行くのだと思っていた。
あの男が来るまでは。
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