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「王子、王子お気を確かにっ。」
「早く、医者を、医者を呼べ!」
悲鳴のような嘆きと
慌ただしい人々の動き
それらに支配された部屋は、本来であれば豪華な装飾に飾られ幸せを象徴するであろう一室なのに、今は悲しみと絶望に打ちひしがれている。
すでに二刻の時間が過ぎ、部屋の中では今も4名の医者が必死にその命を繋げようと懸命に処置を施している。
その様子を悲しみの涙で見続ける母と、それに寄り添うように佇む父。
我が子の命の灯火が消えそうになるのをただ見ているしかない出来ない。
いや、まだだ。
国王である父は、側にいた者にある人物の名前を告げ急ぎ馳せ参じるように厳命した。
その名は
アルド ハシュベル
城内一の剣の使い手であり今は病床にいる王子の義兄になる人物。
本来であれば次の王にあたるが、母の地位があまりにも低いために王位継承に名を連ねることは許されず父の姓さえ名乗る事が出来ぬ者。
この物語は
生きる意味を殺戮にしか見出せない男と
白き姿ゆえに隔離されて育てられた男の
悲しくも儚き物語である。
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