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「女でも切ると言ったのを忘れたか?今なら剣を振るわずにいてやる。倒れた者達を連れて塔へ戻れ。」
周りに倒れた者達の呻き声が聞こえるが、サミュはそちらには目もくれずにアルドに告げた。
「殺したければ殺せ。命などどうでもよい。巫女様さえ戻ればよいのだ。」
「何?」
「お前達、異国の者には分かるまい。白き巫女の偉大さもタール国ゆえの存在意義も」
「.....」
「お前は自分が救世主だとでも思っているのか?正しい事をしていると?」
「.....どういう意味だ」
「巫女様はタール国そして海の神のもの。ここから出る事など出来ぬ」
「それは、飼い殺しにするためだろう」
「ハッハッハ!」
サミュは剣が食い込むのも厭わずアルドにグイと体を傾けて目を見開いた状態で笑い始めた。
「だから、余所者などには理解出来ぬのよ。」
「.....何だと?」
「お前は巫女様を助けるつもりだろうが、それは逆に死に至らしめる事になるのだ。巫女には呪いがかかりそれは苦しみながらの死を待つ事になるだけだ。」
「呪い?」
「そう。海の神の呪いがな」
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