悲しみの決別

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悲しみの決別

※マイラ視点 「絶対に戻る」 そう約束しアルドは目の前からいなくなった。 別れ際に彼が触れた唇のせいか、早まる鼓動と熱くなる体を持て余しマイラはジッと静かにその場に留まる。 大丈夫。 アルドは約束してくれた。 きっと戻ってくる。 両手をギュッと握り体を出来るだけ小さくする。 大きな樽が集まっているその場所の隙間にマイラはいる。 ほんの小さな隙間だが、マイラの細い体はすんなりと入り込み尚且つ樽で視界になっている。 飛んでくる弓矢も樽に当たるためマイラの場所は安全地帯だ。 サミュ達はまだ自分を白き巫女として引き戻したいのだろうか.... すでに母は亡くなりタール国にいる意味も祈る意味も何も無くなってしまった。 もう自分には白き巫女として生きる意味は何もない。 サミュ達に分かってもらうのは難しいだろうが、それでも許されるならば出来ればタール国とは別の場所で静かに暮らしたい。 今のマイラにとってタール国は祖国ではあるが守りたいものでは無くなってしまったから。 アルドは無事だろうか.... サミュは....自分を憎んでいるだろうか....。 色んな気持ちが胸の中をグルグルと騒ぎ立てる。 気持ちが上がったり下がったり上昇下降しすぎて少し気持ちが悪くなってきた。 今まで言われるまま流されて生きてきたから、色んな事がいっぺんに目の前に溢れてしまい気持ちの落ち着け方さえ分からなくなっている。 アルド....。 アルドの腕の中の安心感に戻りたくてマイラはずっとアルドの名前を心の中で呼び続けた。 アルド どうか無事で そう祈りながら
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