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祈りの日々
※マイラ視点
「白き巫女様、お時間でございます」
毎日毎時間、全く数分の狂いもなく繰り返される日々の始まりに何の感情もないまま促される方向へ体を預ける。
マイラは部屋付きの祭司達に連れられ湯浴みの場所へ足を踏み入れた。
足先から頭へゆっくりゆっくりとお湯がかけられていく。不浄の物は下へ溜まるのです。なので湯浴みは足先から。そう最初の頃教えられた通り足先を伸ばす。
いつも通りの手順でいつもと変わらぬお湯の温かさが体の上を濡らしていく。
頭から薄いベールがかけられているため肌を直接見られる事はないが、それでも最初の頃は嫌がり何人かに体を押さえられる形で入らされた記憶がふっとよみがえる。
もはや、あれから何年の月日が流れているのか考える事もやめた。
最初の数年間、毎日泣いて帰りたい。とお願いしていた幼き日の自分を思い出し、無駄な涙だったと。改めて思う。
湯浴みが終われば体を拭かれ白い花から作られた香油が塗られる。
それがいい香りかどうかも自分には分からない。
感情や感覚はもう全て捨ててしまっていたから。
「巫女様、こちらへ」
そう促されるままに仕切りのある部屋へ通される。いつもと同じ医師が自分の体を隅々まで調べてゆく。
これも毎日の事だ。
医師はもちろん祭司の中から資格を持つものが選ばれるため女性だ。
医師は躊躇いもなく頭から足の爪、さらには尻の穴、そして足の間にある物まで観察し紙に記していく。
幼い時より見られている相手のためマイラ自身も恥じらいなどない。
たとえ、相手が異性であろうとも。
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