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夕暮れ時。
海辺の雑木林。
黒々とした松の木の間に彼女の巣はあった。
松の幹にしがみつくようにした巣の中央には、頭から喰われてしまったペガサスの死骸。
「おほほほほ! ぼーや。そーんな可愛い顔してわらわに勝てると思っているのか?」
そう高笑いする花魁のように結い上げられた髪の美熟女には、右と左に4本ずつの腕が生えている。
真っ赤に塗られたとがった爪が鮮やかな指からはロープのように太い半透明の糸が伸びていた。
女の周辺には残陽をあびてキラキラ輝く巨大なクモの巣が張り巡らされている。
クモの巣にはまだ生きている2人の若者が捕らえられていた。
1人は、金髪巻き毛にフリフリドレスをまとった令嬢風の少女。
彼女のイメージにぴったりの赤いサテンのリボンで華奢な体をぐるぐる巻きにされてミノムシ状態だ。
双眸を閉じて、長いまつげが白い顔に影を落としている。
1人はすらりと手足の長い17歳ぐらいの少年。プラチナブランドに右目が青、左目が金色のオッドアイを持つ思わず息をのむような美少年だった。
「くっ」
少年は眉をしかめ苦痛の声をもらす。
彼も遠目にはよく見えないが半透明のロープ状のもので体を拘束されているようだ。
体の動きが捕らわれたもののそれだった。
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