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夢の到達
黒木は各地を飛び回っていた。現状に満足しなかった。福岡を皮切りに各都市の支援センター委託を受諾するためだ。まだまだユープランスタッフの牙城は高く負けは込んでいた。しかし評判というとテラスヒューマニティが先を行っていた。若年者雇用対策にて登録さる利用者は高齢者も多い。三十代から六十代と幅が広い。支援内容もカウンセリングから求人案件のマッチングさらに履歴書作成や職務経歴書などの応募資料作成の手伝いと多岐に渡る。また何年も職についていないなど一般的に考えれば不利な状態の利用者も多い。寄り添いながら話を進めていき求人企業と利用者の落としどころを模索せねばならない。働く意思があっても理想があったり様々な面で条件が折り合わなかったり。面接を受けて採用になっても辞退したりと苦労は絶えない。
企業の良さや利用者の良さなどを通常では得られない情報を共有し就職というゴールに結びつける。最初の何ヵ月かはそこに時間を取られる。各支援センターを回る度拠点のスタッフたちの苦労話に時間を取られるが根気強く対処し寄り添うしか方法はない。それでも実績は他の委託業者に比べれば優秀な数字を叩き出していた。
川村もバイレックスの支援が終了し福岡の支援センターに席を置いた。現場での実績は一番であり、重要拠点は川村を置いてまたまだ他に任せるには荷が重かった。
「川村、後何ヵ月後かに二名ほどセンター長として送り込める人材を育成してくれないか」
「また無理難題をつけますね。分かりました。善処します」
川村は二名ほどピックアップし研修を行った。立ち上げ時には川村が着任するが軌道に乗れば育てあげた人材を代理として置いていく方法だ。福岡センターの委託事業も一年が経とうとしていた。困難を極めたが利用者の就職率が七十パーセントを越えた。かなりの実績とみていい。労働局の担当も目を丸くした。福岡の実績は今後、公共事業に一役買ってくれるだろう。
テラスヒューマニティは再就職支援事業、公共事業と柱二本確立していくことに成功した。すべては神崎が立ち上げ黒木が実践したものだ。
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