桜の木の下で

1/1
前へ
/1ページ
次へ
いつもの景色が、華やいでいる。 今日は、いつも窓から見ていた木の下にいる。お弁当と水筒を持って。 本を開いて、風を感じながらページをめくる。いつもより穏やかな気持ちだ。 「明日も明後日も。過去も未来も、来世も」 その一文に辿り着いた時、さっと風が吹き、白に見えるピンクの花びらがひらりとページに舞い落ちた。 君が来た。懐かしい感覚と一緒に。ほんわりとした。ぽとりと雫が文字を滲ませる。 ゆっくり顔をあげる。 あぁ来世も君に会いたい。また一緒に同じ空を見上げて、きっとまた思う。 今度は君と同じ桜の木の下で。 笑う。 微笑む。 君の笑顔が、僕を捉える。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加