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「きみが死んだときのこと、産まれたときのこと」
フートゥ、ウー!
樫の根元に、大きなフクロウがいた。忍んで近づく僕をちろちろと見るものの、なぜか逃げない。ときどき鳴く。フートゥ、ウー!
僕はやっとのことでだいぶ接近した。そのとき、フクロウがえずいた。
おえ、おえ。
僕は立ち止まり、しゃがみ込んで様子を見守った。見たい。こいつの消化できなかったものはなんだろう。おえ、おえ、おえ。僕は夢中になって観察した。
おええええ。
そのときがきた。激しくえずいた一方、あまりに軽々しいものがぽてんと転がった。
ウー、ウー! フクロウは満足げに飛び立った。僕は吐き出されたものを拾おうとした。
ところが、それは想像したものと違っていた。怖くて手を引っ込めた。
生きていた。
そいつは生きていた。
なんの生き物だかわからないほどのぼろ切れが、それでもなお、立ちあがろうとしていた。
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