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「新種」
「珍しいものを見つけてね」
研究者の男は、つまんだものを友人に見せびらかした。
「へえ、これはアオヒュウガバナか?」友人の男は目を見開いた。「こんなに極小のものがあるとは!」
「未開拓の土地に群生してたんだ。それに珍しい虫がついてるんだぜ、ほら」
「オイ、こりゃ見たことないよ。新種じゃないのか?」
「そうかもしれないんだ。ちょっと構造やら鳴き声やらを調べてみようぜ」
そうして、研究者は高度なマシンを使って、いそいそと虫を解析した。
「こりゃ驚いた……この虫、しっかりとした言語体系をもっているらしい。かなり知的だぜ」
「ほう、そいつはなんと言ったんだ?」
「それがね、『どうか助けてほしい、話し合いましょう』ときた」
「なんと面白い虫なんだ! 一体どこで見つけてきたんだい?」
「うん、ずいぶん遠いがね」
「ふむ」
「地球と呼ばれている星だ」
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