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「特別な人」
わたしの泣きぼくろを誉めてくれた人はさんざんいたけれど、泣きぼくろと目尻の間を誉めた人は、一人だけ。
彼は言った。「あんたのほくろと目尻の間には、無限が宿っている。まるで夜空だよ」
「詩人ね」とわたしは彼を見つめた。
「うぶ毛の感じが」と彼は微笑んだ。「とくに宇宙的だ」
彼は小さな地球儀を手にとり、どこかの海にキスをした。
「夜空にはしないの?」とわたしは言った。
「眺めているだけでいい」
彼はそう言ったきりだった。それ以上は何もせず、去ってしまった。
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