小さな豆桜と銀色の土地神の溺愛

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 一年後ーーー。    「フユさまぁー 」  パタパタと廊下を走って、見廻りから帰って来た土地神(フユ)に豆は抱きついた。  冬の国の土地神は鎮守神とも呼ばれており、治める土地は、国と言われてしまう程に広大で見廻りには時間が掛かる。  「フユ様、冷たい! 」  「こら廊下を走ったら、オオバに叱られてしまうぞ? 」  大丈夫ですよぅと笑って、「フユ様、豆が暖めて差し上げます! 」と、豆がフユの腰の辺りをぎゅっと抱き締めたら、軽々と抱き上げられた。  どこもかしこも冷たいフユの首に手を回して、氷の様に冷たい頬に自分の頬をくっ付ける。  「オオバさんにお願いして、火鉢を沢山用意しました。豆、フユ様の大好きな大根の味噌汁も作りましたよ? 」  大好きなフユ様が、喜ぶことなら何でもしたい。  「そうか、それは楽しみだな 」  「ブリ大根もオオバさんみたいに、上手に作れるようになるのです。だから、早く豆をお嫁にしてくださいね 」  ちゅっと頬に口を付けると、おでこにお返しされた。  「俺も、豆が俺の嫁になるのが待ち遠しいよ 」  向けられる柔らかな微笑みに、豆は幸せな気持ちになった。    優しい優しいフユ様。豆はフユ様のために、花を沢山咲かせたいのです。
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