世界で一番誠実な国

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/  それから一年後。ニーナはこの世を去った。  結局のところ病に苦しまされた短い命であったが、不思議と彼女にもその周りの人たちにも悲壮感はなく、臨終するその間際まで笑顔であの晩餐会の日のことを語り合っていたという。  アレンは、妹を救ってくれた王様の計らいに感銘を受け、より一層の忠誠を誓った。  王様も、アレンのあの「勇気ある嘘」を事あるごとに称賛し、最終的に王の右腕と呼ばれる王室騎士団長の地位をアレンに与えた。  二人の誠実な男はその身が朽ち果てるまで国のために尽力し、生涯盟友として共に歩んだ。  またあの晩餐会が開催された四月一日は、一年で唯一嘘を吐いてもよい日として国家記念日に制定された。これが後のエイプリルフールの起源である。  かくして、「世界で一番誠実な国」は「世界で一番優しい国」という新たな名と共に、末長く発展することとなり、今に至る…… ー了ー
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