回想

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回想

 僕がファビエルくんに初めて会ったのは、家の近くにある川だった───その日、僕は1人で水浴びをしていた。  すると、どこから来たのか・・・・・・さっきまで誰もいなかった川の中に少年が立っていた。  僕は不思議に思いながらも、川の中に1人で突っ立っている少年のことが気になっていた。  その少年は、僕の存在に気がついていないのか、しばらくの間、自分の手のひらを見つめ続けていた。 「こんにちは」  僕が声を掛けると、その少年はビックリしたのか、顔を赤くしていた。 「は、裸?!」 「いや、水浴びだよ・・・・・・良かったら、君も一緒にどう? 何だか汚れているみたいだし」  黒髪の少年は、顔以外が泥だらけだった。背丈は僕と同じくらいだったが、珍しい金色の瞳をしていた。僕は少年の衣服を水洗いすると、絞って近くの木陰に陰干ししてから、彼の身体と自分の身体を一緒に洗った。 「裸で一緒に洗いっこするのは、少し・・・・・・恥ずかしくないか?」 「ん・・・・・・何が?」 「いや、いい・・・・・・それより、これを貰ってくれ」  そう言うと、少年は何処からか水晶のペンダントを取り出していた。 「御守りだ」 「今日の御礼ってこと?」 「まあ、そうかな・・・・・・これを肌身離さずつけていてくれ。何かあれば、必ず助けに行く」 「いいの?」 「・・・・・・うん」 「僕はリューン・レイル。よろしくね」 「ファビエルだ。よろしく」  水浴びが終わって服も乾いた頃、ファビエルくんは僕を抱きしめて、額にキスをした。  その行為が、やけに大人ぽくってドキッとしたけど、気がつくとファビエルくんは消えていた。 「また、遊びに来るよ」  声が聞こえて空を見上げると、ファビエルくんは空中に浮いており、そのまま空から帰っていった。 「魔族の魔術かぁ・・・・・・すごいな」  僕は空を見上げて、ファビエルくんの去っていった方角を見つめていたのだった。
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