大好き

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「その前に、一つだけ聞かせて?ファビエルくんは、僕のことが好きなの?」 「ああ。今も昔も・・・大好きだ。世界中の誰よりも」 ファビエルくんの真剣な眼差しに僕は恥ずかしくなってしまった。まだ、結婚なんて考えていなかったけど、ファビエルくんならいいかな・・・そう思っている自分がいた。 「僕も・・・ファビエルくんの事は、嫌いじゃないよ。どっちかって言うと好き・・・初めてだから、出来るだけ優しくしてほしい」 「・・・うん」 それだけ言うと、ファビエルくんは僕の肩を掴み、唇を寄せてきた。僕が目を閉じると唇に柔らかいものが触れた。 目を開けようとすると、何度も角度を変えながら、貪るようなキスをされた。息継ぎが出来なくて肩を叩くと口を離してくれたが、今度はベッドに押し倒された。僕の茶色い髪を撫でると、切なそうに金色の瞳を揺らしながら微笑んでいた。 「愛してるよ・・・リューン」 「ファビエルくん、やっぱり僕・・・」 「ダメ。逃がさない・・・痛くないようにするから」 「えっ、でも・・・あっ・・・」 ファビエルくんは、僕を抱きしめると身体中にキスをして、お腹に手を当てると呪文を唱えていた。気づけばへその下あたりに紋様が紫色で描かれている。 「・・・へ?」 「淫紋だよ・・・これで痛くならないし、赤ちゃんだって出来るようになるから」 「ちょっと待って、ファビエルくん・・・赤ん坊は・・・」 「大丈夫。今日はそんな事しないよ・・・人族と魔族は、ちゃんと結婚するまで子供を作れないし、結婚しても子供が出来ないことが多いんだ」 「んっ・・・そうなんだ。でもっ・・・」 「安心して・・・今回は淫紋に避妊の術式も入れたから・・・」 「ファビエルくん、待って・・・」 「待たないよ・・・一体、何年待ったと思ってるの?」 ファビエルくんは僕の肩を掴むと、再びベッドに押し倒してきた。 「あっ・・・」 「リューン、愛してる・・・」 「僕も・・・・・・好き」
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