甘々

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甘々

シャワーが終わって、服を着て髪もドライヤーで整え、アイツからのメールを待った。 スマートフォンを握りしめ、午前中に来たアイツからのメールを何度も読み返す。 その時玄関のチャイムが鳴った。 急いで玄関を開けるとアイツがドアの前に立っていた。 両手にはスーパーの袋を下げている。 「(ひびき)、ただいま」 「お・・・お帰り」 「すぐご飯作るね。うちに来る?」 スーパーの袋を取り、アイツの部屋へ向かった。 袋から材料を出して、テーブルに置いた。 「(ひびき)は座ってて、直ぐ作るから」 「わかった」 リビングのソファに座って、アイツが料理するのを見ていた。 快適な包丁な音と、フライパンを混ぜる音、皿や茶碗を並べる音、そんな音を聞きながら今夜は今までとは違う夜になるだろうと、期待に胸がときめいた。 「出来たよ、食べよう」 テーブルに並んだ料理はこれまでに食べたどの料理より美味しかった。 「ね、(ひびき)美味しい?」 「最高に美味しい、侑星(ゆうせい)ありがとう」 食事を済ませ、二人で皿や茶碗を洗った。 リビングへ移動すると、二人でコーヒーを飲んだ。 「侑星(ゆうせい)、この前お前が言ったこと夢じゃないよな」 「片想いの相手が(ひびき)ってこと?」 「ほんとだよ、小学校でも中学でも高校でも、学校に行くだけで(ひびき)に逢えて嬉しかったんだ」 「信じられないな・・・・・俺はあの頃の侑星(ゆうせい)、全然覚えてない」 「小学校の頃さ、(ひびき)はいつも俺のこと睨みつけてたよ。俺が笑いかけても顔そらすし・・・・・嫌われてるなって思ってた」 「お前はお母さんと学校へ来てただろ、それで行きたくないって泣いてたの覚えてるか?」 「だってそれは、(ひびき)がいつも俺を睨んだからだよ、教室に行くのが怖かったんだ」 「・・・・・」 あの頃、侑星(ゆうせい)が泣いてたのが自分のせいだった・・・・・そんなに俺は睨みつけてたのだろうか? そんなつもりも、そこまで睨む理由も今となってはよく覚えていないが、好きな子を虐める心理と同じだったのだろう・・・・・と、言うことはあの頃すでに意識していたと言うことか? 「侑星(ゆうせい)、俺はずっと前からお前が好きだったのかもしれないな」 「ほんとかな?でも、今好きならそれで良いけど」 「今はお前だけだ」 「じゃぁ、他の子なんて興味ないお前だけだって言ってよ」 「他の子なんて興味ない侑星(ゆうせい)だけだ」 「なんか夢みたい・・・・俺のファーストキス、(ひびき)だったね」 「1回目も2回目も俺だっただろ」 今夜、自分が侑星(ゆうせい)の始めての男になるのかと思っただけで、とんでもない興奮が込み上げてきた。 「(ひびき)は何回もキスしてるよな、男ともした?」 「男はお前が始めてだ」 「女とは何回もしたんだ・・・・・」 「マァ、それは・・・・・その頃は侑星(ゆうせい)が俺のことを好きだって知らなかったからな、知ってたらしてなかったと思うぞ、早くお前が言わないからだろ。片想いとかすかしてんじゃなくて」
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