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笑いながらそんな話をした俺に、アイツは真面目な顔で答えた。 「ほんとだよ、僕はずっと片想いしてるんだ」 「どうして告らないんだ?お前から告白されて断る奴なんて居ないだろ?」 「そうかな・・・・・でも、自信ないし断られたら嫌だから・・・言わない」 「好きな人がいるのに、俺なんかにご飯作ったりして良かったのか?」 意地の悪い質問だと分かっていて、それでもアイツの答えが聞きたくて、追い詰めるように聞き続けた。 「だって、付き合ってるわけでもないし、相手は僕の気持ちなんて知らないから・・・・・」 「俺、お前に悪いことしたな」 「何の事?」 「この前の夜のこと・・・・・」 「この前って・・・・・襲われた日の事?」 「アァ」 「だって・・・・・あれは僕から抱きついたし、僕がそばにいて欲しいって言ったから・・・・・」 「キスしたのは俺が勝手にしたんだから、気にするな」 「僕の初めてのキスだったんだよ」 「・・・・・そうか、お前の大事なファーストキスだったのに悪かったな。片想いの相手とするつもりだったんだろ?」 誰だかわかりもしない相手に嫉妬していた。 アイツが長い間片想いしていると言うだけで、そんな相手がどこかに居ると思うだけで、胸が苦しくなるほど腹立たしかった。 アイツを追い詰めながら、どんどん自分を追い詰めていることに気が付かなかった。 アイツは何も答えないで、ただ黙って俯いたままだった、 片想いの相手が居るという事実と、そんな相手が居ながら自分を部屋に呼んだアイツにも腹を立てていた。 折角の食事も次第に味気なくなり、食後のケーキも食べるのを忘れていた。 食後の食器を片付けると、直ぐに美味しかったと礼を言うと部屋に戻った。 折角の楽しい時間を自分のつまらない嫉妬でダメにしたうえに、アイツに哀しい顔をさせた事を心底後悔した。
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