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続いていく想い
想いはいつか風化すると思っていた。
子供の頃からいつも彼の事が気になって仕方がなかった。
笑いかけても無視され、話しかけようとしても避けられ、嫌われているのは明らかだった・・・・・それでも諦めきれずに追いかけた。
どうやったら、好きだという気持ちを捨てられるんだろう。
いつもそのことばかりを考えながら、それでも離れたくなくて同じ高校に入学した。
スポーツの得意な彼とは違って、スポーツなんて何一つ上手くできないのに、それでも同じ場所にいたかった。
これ以上近づいたらダメだと分かっているのに、それでも彼を見ていたかった。
好きになってもらえなくても、自分を見てくれなくても構わない。
ただ・・・・・側にいるだけで良かった。
想いを寄せ続けていれば、いつか恋心に気づいてもらえるかもしれないと思った。
だからこそ、大学も同じ大学を選択した。
彼と同じ建築学科ではなくインテリア学科にしたのは、そこだけは自分の希望を曲げたくなかったからだった。
こんなにも長い間、廣畑 響に執着し続けて何度も諦めようとした。
彼のあからさまな態度に何度も絶望した事もあった、口には出さなくても嫌いだと言われているのと同じだった。
彼の目はいつも冷ややかで、険悪だった・・・・・
それでも諦めきれなくて、やっと諦めるしかないと覚悟したのに・・・・・そんな自分に始めていつもと違う笑顔を向けられて、諦めなくてよかったと心の底から喜びを噛み締めた。
だが、淡い期待は無惨に打ち砕かれた・・・・・
彼の言葉は自分の期待したものとは、まるで違っていた。
何をどう誤解したのか胸を抉る言葉の数々、返す言葉も浮かばず彼からの冷たい言葉が鋭い刃となって突き刺さった。
彼が去った後、その場に呆然と立ったまま溢れ出した涙を拭うのも忘れて声を出して泣いた。
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