お隣さんは・・・・・

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お隣さんは・・・・・

このマンションは厳重なセキュリティが売りになっている。 オートロックは勿論の事、1階には受付と警備員が24時間体制で配置されている。 玄関のチャイムが鳴ったという事は、マンションの住人に他ならない。 モニターを見るのも忘れてドアを開ける・・・・・ 「アッ」 「お前」 お互いの言葉が重なった・・・・・ 二人同時に呆気に取られ、しばしお互いを凝視する。 「お前、ストーカーか?」 「・・・・・びっくりした!!俺、隣の部屋なんだけど・・・・・」 「隣?」 そう言われれば、郵便受けのネームプレートに『Fugi』と書かれていた・・・・・まさか、布木(ふぎ)だったとは・・・・・ 「これ、ご挨拶」 差し出された紙袋を受け取り、そう言えば彼への失礼を詫びなければと唐突に思い出す。 「前に俺が言ったこと、悪かったと思ってる。済まなかった」 「どの事?」 「お前と一緒は嫌だって言ったことだよ」 「気にしてないから、廣畑(ひろはた)君も気にしないで」 「そうか、わかった。お互い頑張ろうぜ」 「うん、よろしく」 アイツはそう言うとあっさりと出て行った。 紙袋の中は箱入りティッシュとブルーのダスターだった。 高校まで一緒だったアイツと大学まで一緒になった事もまさかの出来事なのに、マンションまで同じとは・・・・・気にするなと自分に言い聞かせても、気になって仕方がない。 同じ工学部なら、たとえ学科が違っても同じ授業を受ける事もある、これまでと同じように嫌いな奴だと無視すればいい筈なのに、それができる自信がない。 自分の心境の変化が自分でもよく分からなかった。 アイツの事を嫌いだと言う気持ちはとっくに無くなっていた。
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