侑星の反撃

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侑星の反撃

侑星(ゆうせい)にメールを送ってから、早1時間。 既読になったものの何の返事もなく、やっぱり予想通りかとガックリ落ち込んだその時、玄関のチャイムが鳴った。 こんな時間に訪ねてくる者はなく、オートロックは勝手に入れない。 だとすれば、侑星(ゆうせい)か? だがアイツは今、実家だったはず・・・・・ 恐る恐る玄関モニターを覗けば、そこに居たのは愛しい侑星(ゆうせい)だった。 急いでドアを開けると、怒りと悲しみで震える侑星(ゆうせい)の姿に驚く。 「侑星(ゆうせい)・・・・・」 「(ひびき)のバカ・・・・・別れたくない・・・・・」 ハァハァと息を弾ませ、泣きながらそう言った侑星(ゆうせい)に、自分がやった事の重大な過ちに今更ながら背筋が寒くなった。 「待て・・・・・侑星(ゆうせい)・・・・・違う・・・・・お前の勘違いだ」 とは言ったものの、あんなメールを送れば勘違いするのは目に見えていた。 自分で送っていながら、今更だ・・・・・ 「侑星(ゆうせい)・・・・・お前に逢えなくて俺どうかしてた・・・・・ごめん」 「ふざけてんのか? 俺がどんな気持ちでここに来たと思ってる? 逢いたかったのは俺だって同じだろうが、誰のせいで逢えなかったんだよ」 「侑星(ゆうせい)」 「もう二度と(ひびき)とは逢わない、恋人でも無い」 そう言い捨てるとアイツはドアを閉めて出て行った・・・・・ 完全に終わった・・・・・あんなメールを送ったばかりに・・・・・ あの時は本当にどうかしてた、自分勝手な思いであんないい加減なメールを送ってしまった・・・・・ 《侑星(ゆうせい)、俺が今どんな気持ちかわかるか?俺はお前を信じられなくなった。お前は俺を好きじゃなくなっただろ?お前とは別れると決めたから》 腹立ち紛れの八つ当たりだった、本気じゃなかったとはいえ、こんなメールを送られた身になれば、誰だって”ふざけるな”と言いたくなるだろう・・・・・我ながら浅はかだったと後悔しても、もう遅い。 侑星(ゆうせい)の怒りは本物だった・・・・・ 何度も何度も、謝りのメールを送るも返事は勿論なく、既読にすらならなかった。 隣の部屋のチャイムを押してもドアが開くことはなかった・・・・・
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