想い出の箱はパンドラの箱

1/1
前へ
/84ページ
次へ

想い出の箱はパンドラの箱

33eb219e-005a-4cbd-b37c-ce404cbf1c61 母が作ったんたろうな 白い段ボールに母の好きな リバティプリントが幾何学模様に 貼り付けてある湿度に負けない様に 箱の蓋の裏側には湿度対策にか 炭が袋に入れられて貼り付いていた いつか私が見るかもと母は母なりの 最善を尽くしてくれたんだろうな 大きな箱には幼い頃の工作作品や 作文や成績表や母子手帳迄入っていた 七五三の写真もだ お手製かな紙のフレームに入っていた 箱の一番底に緩衝材にくるまれた 白い紙袋があった。 それを見た瞬間に私は10歳の 誕生日1日前に戻った 光の少し照れた笑顔と 必ず明日開けてねが頭の中で 鳴り響いていた 大人なのに大声出して泣いていた 最近泣きすぎだなと思いながら 緩衝材から袋を取り出した 真っ白だった紙袋は少し黄ばんでいた 中を見たら可愛い封筒が2つ 1つにはあの頃大好きだった ポチャッコのハンカチと鉛筆と消しゴム 私可愛い小学生だったなと嬉しかった もう1つの封筒には お手紙とあるものが入っていた おたんじょう日おめでとう    これからもなかよくしようね            光 後は光のお手製の花火の招待状 2003年 ばあちゃん家の庭で花火 2023年のまであった 傷まない様にセロテープを貼っていた 30歳になるまでの約束なんて 光はどんな30歳になっていたんだろう ゆっくり深呼吸して考えていたら こないだ再会出来た求を思い出した 光もあんな感じかな もう少し優しい感じかな その時十夢の顔が思い浮かんだ 似てるとかでは無いけど あの時あの桜並木で眺めた彼の 輝きよりもキラキラよりも 優しい感じは光だったんだと 初めて感じたあの感覚は 私が忘れていた光そのものだった 何もかもが繋がる気がした 十夢君が身代わりとかではない 忘れた気持ちでいた とても大切なパンドラの箱の 鍵をくれたのかも知れない 偶然は必然だから 私は この3年で何かを取り返している 彼を想うことで 生きる意味を 見つけたのはこの必然の為だなと
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加