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想い出の箱はパンドラの箱
母が作ったんたろうな
白い段ボールに母の好きな
リバティプリントが幾何学模様に
貼り付けてある湿度に負けない様に
箱の蓋の裏側には湿度対策にか
炭が袋に入れられて貼り付いていた
いつか私が見るかもと母は母なりの
最善を尽くしてくれたんだろうな
大きな箱には幼い頃の工作作品や
作文や成績表や母子手帳迄入っていた
七五三の写真もだ
お手製かな紙のフレームに入っていた
箱の一番底に緩衝材にくるまれた
白い紙袋があった。
それを見た瞬間に私は10歳の
誕生日1日前に戻った
光の少し照れた笑顔と
必ず明日開けてねが頭の中で
鳴り響いていた
大人なのに大声出して泣いていた
最近泣きすぎだなと思いながら
緩衝材から袋を取り出した
真っ白だった紙袋は少し黄ばんでいた
中を見たら可愛い封筒が2つ
1つにはあの頃大好きだった
ポチャッコのハンカチと鉛筆と消しゴム
私可愛い小学生だったなと嬉しかった
もう1つの封筒には
お手紙とあるものが入っていた
おたんじょう日おめでとう
これからもなかよくしようね
光
後は光のお手製の花火の招待状
2003年 ばあちゃん家の庭で花火
2023年のまであった
傷まない様にセロテープを貼っていた
30歳になるまでの約束なんて
光はどんな30歳になっていたんだろう
ゆっくり深呼吸して考えていたら
こないだ再会出来た求を思い出した
光もあんな感じかな
もう少し優しい感じかな
その時十夢の顔が思い浮かんだ
似てるとかでは無いけど
あの時あの桜並木で眺めた彼の
輝きよりもキラキラよりも
優しい感じは光だったんだと
初めて感じたあの感覚は
私が忘れていた光そのものだった
何もかもが繋がる気がした
十夢君が身代わりとかではない
忘れた気持ちでいた
とても大切なパンドラの箱の
鍵をくれたのかも知れない
偶然は必然だから 私は
この3年で何かを取り返している
彼を想うことで 生きる意味を
見つけたのはこの必然の為だなと
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