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キミハダレ?
キラキラ輝く人を見たとしても
私の毎日に変化はない
そうやって26歳になったし
変わらない毎日で充分だった
あの春の桜並木の彼を見てから
数週間は経過していた
大型連休の始まりの頃に
図書館のテラスで
陽射しを浴びながら読書する
彼をまた見た 驚いて
何にも出来なく
ただ窓越しに見つめていた
キミハダレ?
ナゼ ソンナニ カガヤイテ イルノ?
今まで感じた事の無い
誰かへの感情を私はもて余していた
その時突然声をかけられた
いつも受付に居る司書の方だ
「彼を見てるの?美しいよね
彼はもうすぐ韓国に行くの
この近所にある芸能事務所の
練習生なんだって あなたと
ほば同じタイミングで来てたのよ
知り合い?」
驚いて答えにならない
私は私しか見てないから
知り合いではないですと
答えるしか出来なかった
司書さんは微笑みながら
「あなたはほんとに表情が多彩よね
本を読んでるのを眺めてると
あなたの喜怒哀楽が解るもの
本が好きなんだよね」
驚いて真っ赤になった
私が感情が多彩?
何にも興味も無く無機質な私が?
もう一度振り向こうとしたら
彼がテラスから出て来て
司書さんに話しかけた
優しいトーンの心地好い声だった
下を向いて存在を消そうとした
彼は直ぐ本棚に向かって消えた
私は立ち尽くして困っていた
この感情は何だろう?
彼を知りたいと心の片隅で
思っているから
自分の中に初めて芽生えた
この感情とどう折り合えば良いのか
私は支配されたみたいだ
キミハダレ?
この感情に
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