それぞれのクイズ愛

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「それと作問に関してだけど、自由に自分の好きなジャンルで問題を作成していいと思うよ。地理なら、市町村名を問うクイズだけを10問作るとか。そんな限定的な出題範囲の狭いシリーズの方が、物好きも集まるし。それに作問をしながら新しい知識を得ることもある。私も地理が好きで、茅野市にある"御射鹿池(みしゃかいけ)"という、風光明媚(ふうこうめいび)なため池を答えにした問題を作ろうと思ったんだよ。問題を作る時はまず答えを先に考えるからね。それでその池を調べたら、そこは東山魁夷(ひがしやまかいい)という有名な画家が描いた絵、『緑響く』のモチーフになっていたんだ。私はその時、東山魁夷も緑響くも知らなかったから、作問したおかげで新たな知識を増やせたというわけさ。もちろん問題文の冒頭にも、その2つの単語は入れている。こういう無限の楽しみがあるから、雷波くんの言うように作問も大事なんだよね」 今度はクイズおじさんが、またも笑顔で楽しそうに作問の重要性を語った。 俺はそれを聞いて、すぐに御射鹿池を検索した。画像を見ると、確かに池のそばに白い馬が描かれた絵画を見つけた。これが緑響くだろう。 「そういえば今の話で思い出したんだけどね、来週の5月4日の土曜日に、『ドゥマンダ』利用者が投稿した問題を使った"クイズ大会"が開催される予定なの。難易度はやや難問あたりを募集してるそうよ。採用されると、自作問題を実際に店員が問読みしてくれる。クイズ好きには嬉しいイベントよね。投稿の締切は明日28日の22時までだから、あんふぃにさんも地理のクイズを作って応募してみたら?」 怜良が、作問繋がりで来週開催されるクイズ大会のことを思い出し、そこで出題するためのクイズを俺にも作成するように(すす)めてきた。 「へえ、面白そう。普段はクイズに答えてばかりだけど、こういう機会に自分のオリジナルの問題を作って、大勢に解いてもらうのも作問のやりがいがありますね。さて、どんなものを投稿しようかな(笑)」 俺は地理の問題を応募することはすぐに決めたが、クイズ自体は帰ってからじっくり考えることにした。
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