大会

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ちらっと周りを見渡すと、クイズが採用された怜良も雷波も、他の知らない参加者6人も、みんな黙ってめろんぱんを見つめ、開始を待っていた。 「お待たせいたしました。では早速早押しクイズ大会を始めます」 めろんぱんは10人の前に立ち、白い紙を見ながら話している。その紙に、クイズの問題と答えが書かれているのだろう。 よし、ついに始まるぞ。 頑張って答えてやる! 「第1問。『本来は「草木が茂って天地が満ち始める」という意味がある、』……」 ピンポーン。 めろんぱんが第1問を読み始めてわずか3秒足らずで、早くも誰かが早押しボタンを押していた。クイズおじさんだ。 「クイズおじさんさん。どうぞお答えください」 「はい。『小満(しょうまん)』」 「お見事、正解です!10ポイント獲得です」 「よし!」 あっという間に答えられてしまい、記念すべき1問目はクイズおじさんがポイントを勝ち取っていった。 早い、早すぎる。 俺はそこでは絶対わからなかった。 これが本場の早押しクイズなのだろうか。 「まず問題文の続きをお読みしますね。『……という意味がある、毎年5月20日頃にある二十四節気の一つは何でしょう?』という問題でした。二十四節気は各月に2つずつありますが、5月にあるのは立夏とこの小満です。時期としては正確には定まっていないものの、毎年5月20日頃を指します。最初の意味が出ただけで答えられるのは、さすが知識が豊富な方の押しでしたね。季節に合った問題で、作問した『ドゥマンダ』の店長もこれを1問目に置いたのでしょう」 めろんぱんは、嬉しそうに皆に向けて小満の説明をした。彼女は順調に司会進行を務め、この仕事にとてもやりがいを感じているように窺える。事前に調べていた事実を紙に書いているので、すらすら読めているようだ。 この調子で4問目までがどんどん過ぎていき、5問目が雷波作のファッション問題、6問目がクイズおじさん作の世界史問題が読み上げられ、雷波もクイズおじさんも自作問に解説を加えた。俺は現時点で全く答えることができず、ポイントは0だった。 まずい。 本当に周りが早くて押せない。 せめて次は取らないと。
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