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「7問目は怜良さん作のクイズになります。作成者である怜良さんは回答権がありませんので、お立ち願います」
「わかったわ。どの問題かしらね」
司会のめろんぱんに促された怜良は、立ち上がって天井を見上げた。やはり彼女も、複数のクイズを応募したようである。
「第7問。『2019年には映画化もされた、少年少女たちが廃病院に集まり、「集団安楽死」を実行しようとするという内容の、冲方丁の小説は何でしょう?』」
その問いに、すぐには誰もボタンを押さなかった。
知らないのだろうか。俺はこの映画、当時見たぞ。この有名な作者の小説の名前、思い出せ……。
ピンポーン。
俺は緑の早押しボタンを強く押し込んだ。
「あんふぃにさん。どうぞお答えください」
「はい。『十二人の死にたい子どもたち』」
「正解です!10ポイント獲得、おめでとうございます」
よかった、合っていた。
俺は何も言葉を発しなかったが、嬉しくて思わずガッツポーズをしてしまった。
ふぅ。
思い出せてよかった。安心してため息が出た。やっとポイントゲットだぜ!
「では怜良さん。この問題の簡単な解説をお願いします」
めろんぱんの指示に従い、怜良が自作クイズの解説を語り始めた。
「この作品はイジメや家庭問題など、様々な理由から自殺願望を抱いてしまった10代の子どもたちが、12人集まって集団自殺をしようと計画するお話です。最終的な結末はネタバレになるため言えませんが、少年少女たちの議論が白熱し、生と死を考えさせられる、私がとても好きなジャンルの小説です。是非読んでみてください。あんふぃにさん、さすが読書好きね」
怜良はみんなには敬語で説明した後、唯一ボタンを押して正解した俺を褒めた。彼女には読書が趣味であること、出版社に勤めていることを話したので、それを覚えていてくれたらしい。
確かにこの物語は印象に残っていた。タバコを吸いまくる少年、吃音がひどい少年、常にリーダーシップを取りたがる少女など、個性的な若者が多数登場した記憶がある。
怜良はこういうミステリーが好みなのか。彼女のミステリアスな雰囲気から、何となく想像できるな。
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