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ジャガ神は鬼軍曹のごとく、遠くからその様子を眺めていた。
「腹筋と背筋を鍛えるために頑張るじゃが〜。愛のムチじゃが!」
「ひぇ~。助けてください」
ピチピチ。ピチピチ。
「気合じゃが。気合じゃが!」
ピチピチ。ピチピチ。ピチピチ。鮒は跳ねて池に近づこうとしていた。
「息が…息が…」
「もっと頑張るじゃが!」
ピチピチ。ピチピチ。チャポン。
鮒は陸の上でひたすら飛び跳ねて何とか池の中に生還した。
「はあ、はあ、はあ。腹筋が痛い…」
「意気地がないじゃが!」
「ジャガ神さま、酷いですよ。も〜う、何ってことをするんですか。危なかったです。腹筋を鍛える以前に干物になったらシャレになりませんって。干物は鯵だけで十分。こんなの縁木求魚です!」
「何事も追い込まないとできるようにならないじゃが〜」
「夏休みの宿題みたいなことを言いやがって!」
「何じゃが?」
「何でもありませんよ。次はジャガ神さまの番ですからね」
「おしっ、やったるじゃがー!」
「やるんですね。ドエム体質…」
ジャガ神が飽きるまでのしばらくの間、不毛な趣向を凝らした特訓は続くのであった。
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