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それからあっさりと月日が流れ、いつの間にか1年生が終わろうとしている。
おにぎり堂からすっかり足が遠のいていた俺は、それでも公民館の前を通るたびにあの店へと続く細道を見つめていた。
ここからまっすぐ歩いていけば、15分くらいで店に行けるのに。
「あいつとは……うまくやってんのかな」
ラフな格好でも様になっていた男のことまで思い出される。いけない、そんなこと考えるだけ無駄だ。考えるだけ……悲しい。
変な妄想を打ち消すために頭を振りまわしていると、後ろの方で誰かが会話しているのに気づく。
「――いいじゃん。久々に会えたんだし、ちょっとコーヒーでも一緒に飲もうって」
「用事があるので」
「あのさ。俺のこと優先してくれる気はないわけ?高校の時も言ったけど、お前のこと好きなの変わってないぞ?」
振り返ってみると公民館のすぐ横で男女が揉めているみたいだ。
男のほうは確か……あ、そうだ。入学式でずぶ濡れだった俺から秒で目を反らした先輩だ。
「前に一度お断りしたはずです。お付き合いは無理です」
「ならお友達からでいいよ。ほら、腕でも組んでさ」
「ちょっと、痛いっ」
そしてもう一人は……。
「ん!?」
杏さんだ。涙目の彼女を確認した瞬間、足が勝手に動いていた。
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