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杏さんの細腕から男の手を振り払った俺は、そのまま夢中で2人の間に割り込む。
「あっ?なんだよお前っ!?」
「……大樹……くん?」
先輩の視線が俺を刺してきたが、負けじと睨み返す。
「あの、俺は杏さんの……友達です」
形容詞が見つからず、とりあえず友を名乗ってみる。後ろの杏さんもなにも口を挟まなかった。
「は?友達?友達がなんだよ?」
「杏さん、明らかに嫌がってますよね?」
「はあ?」
怒り顔が威嚇するように近づいてくるが。ここで引くわけにはいかない。
「俺の友達に嫌がらせするのやめてもらえませんか?」
「……もういいっ。白けた」
意外にも諦めのはやい先輩は、悪態をついてあっさり行ってしまった。内心殴られるんじゃないかと覚悟していたので拍子抜けで身体がグラつく。
「大樹くん大丈夫?助けてくれてありがとうございます。なんだかお久しぶりですね」
すかさず杏さんが俺の腕を支えるようにして触れてくるので、慌てて振りほどいた。
「いやいや、なにもしてないですから」
「そんなことないです。あの人ね、高校の同級生なんだけど。さっき商店街で偶然会っちゃいまして」
「そうでしたか。……って、同級生っ?」
あの先輩はせいぜい俺の1、2歳上くらいなんだが。
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