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人や動物、虫に植物。命あるモノに纏っている『色』が見えてしまう。
自分の、以外。
例えば…
普通平常心ならば黄や緑の中性色が。
気持ちが昂ぶっている時は朱や橙の暖色に。
逆に疲労や痛みを抱えている場合は紫や青の寒色を放っている……という具合だ。
時にぼんやりと時に色濃く、煙や霧に似たオーラが私の視界には映っている。
思えば幼心には当たり前に見えていて。
より強く感じるようになったのは……父が事故にあってから。
あんなに怖い色を見たのは初めてで……父の苦痛な表情と覆いうごめく真っ黒なオーラ。そして母も、同じだった。
私は病院の物陰から二人を観察しては脅えていたけれど、どうにか元気になってほしくて……花の絵を描き始めた。
毎日毎日父に贈り、いつしか病室は花の絵でいっぱいになる。
黒いオーラは消え去って紫から段々と青く、そしてキラキラ光る星屑の欠片がオーラに混じって現れると、私達に笑顔が戻ってきた。
家族が再生すると私には観察する癖がつき、絵を描くことが楽しくなっていたんだ。
ただ、オーラが見えることは……誰にも話していない。子供心にも何となく、変でおかしい事だと感付いていたから。
一転、中学生になって色に関する特異体質があると知る。文字や数字や音などから色を感じる人がいるというのだ。
『共感覚』と呼ばれるその解説をWikipediaに頼ってみると[ ある1つの刺激に対して通常の感覚だけでなく異なる種類の感覚も自動的に生じる知覚現象(クオリア)をいう ]とある。
23人に1人という説や、感じ方に同一性はないのだとか。
ついで、英語辞書で『クオリア』を調べた。
[ qualia (複)【 quale (単) 感覚質・特質 】生物が意識的・主観的に感じたり経験したりする質のことで端的に言えば心の構成要素である ]だって。
つまり、よくわからない。
共感覚って?
違う感覚が特別に混ざり合うような感じで…
普通でも変でもなく、独特な感性??
上手に説明もできないし私の先入観や妄想とも考えられるので、結局私の中に籠もらせたままでいる。
一瞬、葵くんも……共感覚者かと思った。
なんか鋭い洞察力に驚かされるとゆうか… ううん。
たぶん、葵くんのクオリアだ。
葵くんの感覚や感性が私の中のクオリアに縺れて絡まって……そんなイメージ。
近くにいるとドキッとしたり、背中がソワソワするのはそのせいだ。
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